そのおばあちゃんも亡くなる直前にお風呂に入られたのですが、
他にも冬にお風呂に入られたおばあちゃんがいらっしゃいました。
御年105歳。ほとんど介護の手なし。ご立派です。
娘さん一人での介護なので訪問入浴を利用されていました。
先月まではぜんぜん元気だったのに急でした。
土曜日の午後に訪問入浴の後に意識を失ったと、
訪問入浴の看護師さんから電話があって伺いました。
穏やかな土曜日の午後に突然だったので、
やむなくうちの子供達も同席です。
スケジュールがあるだろうに訪問入浴の方がいて下さりました。
別になにかアクシデントがあったわけでもないのですが、
入浴直後の急変だったので職員さん方も慌ててしまいますよね。
「自分たちに不手際があったからこうなってしまったのだろうか」
そう思って当然です。
「うちの母はこれでもね、大丈夫そうですね。」
お母さんが105歳ですから、娘さんご自身も大変だろうに、
さすが肝っ玉が据わっていらっしゃいます。
意識を失ったままのお母さんを前に、腹が決まっています。
もしかしたら、自分が先に倒れる前に自分で母を送り出す。
そう決めていらったんでしょうか。
「もうすぐ最後かもしれないけれども、
最後までこんなにきれいな身体にして頂いて、母は幸せ者です。」
娘さんは訪問入浴の職員さん方にもお礼をおっしゃいます。
訪問入浴の皆さんは心が救われます。
昔に誰かがおっしゃったのですが、
「介護は親が子供たちに見せられる最後の教育機会」なのだそうです。
育児を通してで親が子どもから教わることはたくさんありますが、
親を介護することで子供たちも親から教わるそうです。
親が死にゆく生き様というか、その姿を見せることで、
生きるとはどういうことなのか、死ぬとはどういうことなのか、
自分の子ども達が考えることができるように教えてくれています。
子ども達だけではない。
医療や介護に携わる自分達もその方から教えて頂いているのですよね。
その日の未明、おばあちゃんは息を引き取られました。
結局、最後の日まで食事をして、お風呂に入って、
医者から点滴のひとつも受けずに、
お顔も穏やかです。
なにか病気を探せば見つかったのかもしれませんが、
どう考えても救急車を呼ぶなんて考えることもありませんでした。
理想の長生き、理想のピンピンコロリでした。
立派なおばあちゃんでいらっしゃいました。
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