今年印象的だったのは、風だけではなく風邪の多いでもありました。
往診に伺っている患者さん方でも熱発や肺炎の方が多く、
点滴をたくさん行ったような気がします。
8月は市内いたるところの保育園で手足口病が流行し、
北海道中のお父さんお母さん方が気を揉まれたことと思います。
そんな夏風邪が流行していた7月の上旬に、
1歳2か月の自分の次男もひどい風邪をひきました。
ヘルパンギーナを強く疑うような症状だったのですが、
そんな次男がつらそうに寝ている様子を夜通し妻と看ていると、
あ、こういう瞬間のこの気持ちが、介護と同じなのだなと感じました。
今は様々な家族関係がありますから、よりけりなのですが、
初めは親が子の面倒をみて、最後は子が親の世話をすることが多いと思います。
昔はきっと子が10人近くいたりするのが当たり前で、
そのうちの何人かは乳幼児のうちに亡くなり、子は口減らしのために老いた親を山に置かざるを得ない。
幼少の時に観た「楢山節考」は衝撃的でしたが、
そのような過酷な社会でも、親が子の世話をして、子が親を最後まで看たのだと思います。
育児と介護、両方に共通することは、「不安と幸せ」です。
自分の子が高い熱を出して苦しんでいる。親は子供の身体を心配します。
自分の親が高熱を出して苦しんでいる。子は親の身体を心配します。
産まれて初めての数か月、24時間付きっきりの育児。夜通し聞く泣き声。
いつまで続くか分からない親の介護。24時間付きっきり。夜は目が離せない。
どちらもそのために仕事をあきらめなければならなかったりもする。
社会制度の変更によって改善するべき課題ですが、
育児や介護は時に、「幸せ」も運んでくれます。
多くは、育児は幸せな一方で介護は不幸なイメージを持たれますが、
介護だって、感謝の言葉と笑顔があれば、幸せをたくさん感じることができます。
多少なりとも「病気」を伴うことが多いので病状にもよりますが、
親の介護をする時は「病気」を負の物としてだけ考えず、
小さな子供が必ず熱を出すのと同じように、
人間は一生の初めと終わりに、人に大切なことを教えることができます。
子供は親に命の尊さを教え、親は子に命の儚さと人生の貴さを伝える。
そのような姿をたくさん拝見できる医療者や介護者、保育者は幸せな職業です。
右回りの台風と左回りの台風はお互いに離れて行ってしまって、
消えてしまうまでずっと、出会うことはありません。
けれどもふたりが生まれた場所は同じ、暖かい南の海です。
育児も介護も、その時は台風のようにとても強い風が吹いて大変ですが、
いつか必ず穏やかになって、きれいな空気を送り届け、土壌を豊かにしてくれます。
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